- 2024年7月25日 LHDC を追加
AV情報家電 家電製品アドバイザー(エグゼクティブ等級)のyacchiです。
最近、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンが人気です。
ワイヤレスでの接続は基本Bluetooth接続です。
そこで今回は、BluetoothのバージョンやBluetoothコーデックについて、まとめて解説します。
Bluetoothのバージョン 解説(Bluetooth4.0以降)
Bluetooth4.0
Bluetooth Low Energy(BLE)とも呼ばれる低消費電力で動作する低消費電力モードが追加されました。
この低消費電力モードは、通信速度が最大1MbpsとBluetooth3.0の24Mbpsに比べて低下しているが、通信速度を1Mbpsに下げて短時間で通信を行った後で待機状態にすることで、低消費電力を実現しています。
Bluetooth4.2
Bluetooth4.2ではIPv6への対応が強化されています。
また、プライバシーとセキュリティの強化がされています。暗号方式の128bitのAESに対応しました。
また、Bluetooth Low Energy(BLE)仕様の伝送速度の向上が図られています。
Bluetooth4.0のluetooth Low Energy(BLE)仕様の約2.5倍に向上しています。
Bluetooth5.0
Bluetooth5.0では、Bluetooth Low Energy(BLE)の通信モードを通信速度2Mbps、1Mbps、500kbps、125kbpsの4種類にしました。
2Mbps、1Mbpsの通信モードでは最大通信距離が100mですが、125kbpsの通信モードでは最大通信距離が400mまで拡大し、より長距離での通信が可能になりました。
Bluetooth5.1
Bluetooth5.1では、方向探知機能が追加されました。
方向探知機能には、AoA(Angel of Arrival、到達角度)、AoD(Angel of Departure)という方式が規定されました。
この方向探知機能で紛失物の捜索時など、信号強度の測定に、方向を加えることができるため、より正確な位置が特定できるようになりました。
位置測定精度は、従来のメートル単位からセンチメートル単位まで向上しました。
Bluetooth5.2
Bluetooth5.2では、Bluetooth LE Audio の新機能などが追加されました。
Bluetooth5.3
2022年5月にリリース。
必要な帯域幅にもよるが、このバージョンは使用時の消費量が少なく、干渉の少ない接続、より高い接続セキュリティを提供します。
LE Audio規格の改良がされました。
Bluetooth5.4
2023年2月にリリース。
PAwR (Periodic Advertising with Responses) という新しい通信方式の追加と、通信データの暗号化が標準となりました。
PAwR (Periodic Advertising with Responses) は、リンクを確立せずにデバイス間の双方向コネクションレス通信を実現する機能を有しています。
これまで独自で動いていたESL企業がBluetooth® SIGと協力し、ESL普及のために実現させた無線通信規格であるBluetooth5.4をリリースしました。
電子棚札 (ESL) は、商品価格などの情報を表示する小型のティスプレイ端末です。
紙やシールとは違い無線通信を通して、名称、価格、バーコードなどの商品情報を遠隔で操作・管理ができます。
Bluetooth LE Audio
Bluetooth LE Audioは、オーディオに関する新しい仕様です。
従来のBluetoothオーディオ仕様は、Classic Audio と呼ばれるようになりました。
下記にBluetooth LE Audio の機能を記載します。
- オーディオコーデックにLC3を採用
従来のClassic Audio では、標準のオーディオコーデックはSBCを採用していました。
Bluetooth LE Audioでは、高音質で低消費電力が特徴のLC3(Low Complexity Communication Codec)を採用しました。
LC3では、ビットレートを160kbpsとしたLC3の場合でも、ビットレートを最大値の345kbpsとしたSBCと同等の音質を実現できます。
これにより低いビットレートでも実用上十分な音質で送信でき、機器のバッテリー消費を抑えることが期待できます。
- マルチストリームオーディオに対応
マルチストリームオーディオは、スマートフォンなどから複数のBluetooth対応機器に音声データを同時に送信できる機能です。
このマルチストリームオーディオ機能により、スマートフォンから左右独立型のワイヤレスイヤホンに同時に音声データを送信できます。
また、5.1chサラウンドの各ワイヤレススピーカーへの音声データ送信に応用も可能です。
- ブロードキャストオーディオに対応
ブロードキャストオーディオは、通信範囲内のBluetooth LE Audio に対応する全ての機器に音声データを送信できる機能です。
Bluetoothを利用して、博物館の音声ガイドのように放送のような使い方ができます。
- 補聴器に対応
Bluetooth LE Audio は、補聴器の規格にも対応します。
スマートフォンからBluetoothを使用して送信される音声を補聴器で聞くことなどが可能になります。
Bluetooth コーデック 解説
Bluetooth 主要コーデック一覧
Bluetooth 主要コーデック一覧表をまとめてみました。
Bluetooth コーデックとは
Bluetoothコーデックとは、「音の圧縮方式」のことです。
これにより、音質や遅延に影響が出ます。
SBC
Sub Band Codecの略です。
オーディオ向けの音楽再生プロファイル(A2DP)に必ず対応しているコーデックで、Bluetoothオーディオにおける標準コーデックになっています。
すべてのBluetooth対応機が準拠しています。ただし遅延は大きいです。
AAC
Advanced Audio Codingの略です。
一般的にはSBCよりも低遅延かつ高音質なコーデックと言われています。
このSBCより高音質は怪しい気がします。
iPhoneやiPadなどのApple製品はSBCとAACの2種類にしか対応していないため、AppleユーザーにとってはAACが最も高品質なコーデックです。
apt X
クアルコム社が提供する、CD音源と同等の音質で通信ができるコーデックです。
aptX LL
aptx Low Latency(低遅延)の略です。
apt X の低遅延版です。
aptX HD
48KHz/24bitまでのハイレゾ相当に対応したコーデックです。
接続機器もaptX HD に対応している必要があります。
対応していない機器だとaptX で接続されます。
aptX Adaptive
クアルコムが2018年に発表したBluetoothオーディオのコーデック。
最大の特徴はコンテンツの種類や周囲の電波環境に応じて、常時最適な音質や遅延性能を自動でリアルタイムに可変できる「適応型=Adaptive」であることです。
96kHz/24bitで転送可能なハイレゾ相当の Bluetooth オーディオコーデックで、同時に低遅延も実現しています。
aptX Lossless
クアルコムが2021年に発表したBluetoothオーディオのコーデックです。
- CD音質(16bit/44.1kHz)のロスレス再生をサポート
- Qualcomm Bluetooth High Speed Linkに基づいたCDロスレス品質へのスケールアップ
- ユーザーはCD音質(16bit/44.1kHz)か圧縮された高ビットレート(24bit/96kHz)音質を選択可能
- 音源がロスレスオーディオの場合は自動的にCD音質のロスレス再生を有効化
- 最大ビットレートは1Mbps
LDAC
ソニーが独自開発したコーデックです。
96kHz/24bitまでのハイレゾ相当に対応しています。
最近はLDACに対応した Androidスマホも多くなってきました。
LC3
Low Complexity Communication Codec の略です。
高品質・低消費電力が特長です。
LC3では、ビットレートを160kbpsとしたLC3の場合でも、ビットレートを最大値の345kbpsとしたSBCと同等の音質を実現できます。
これにより低いビットレートでも実用上十分な音質で送信でき、機器のバッテリー消費を抑えることが期待できます。
LC3plus
LC3と同様、フラウンホーファー IISとエリクソンが開発したコーデックで、ETSI※で規格化されています。
LC3plusはLE Audioの標準コーデックではないが、LE Audioに対応できます。
またLC3plusはBluetooth ClassicのA2DPにも対応しているので、従来のBluetooth規格でも使用できます。
遅延は、LC3が28msであるのに対して、LC3plusでは15msあるいは10msを実現でき、更に低遅延です。
最大96kHz/24bitのハイレゾ相当に対応しています。
※ETSIは欧州電気通信標準化機構のことで、アメリカでのIEEEのような標準化団体です。
LHDC
LHDC(Low latency and High-Definition audio Codec)」は台湾の半導体メーカーSavitechが開発したBluetooth用オーディオコーデックです。
ファーウェイによる独自コーデック「HWA」のベースにもなっており、SBCと比較して約3倍以上のデータ伝送が可能としています。
2019年に日本オーディオ協会(JAS)は、ワイヤレス接続における“高音質”を定義するライセンス「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」に対応したオーディオコーデックとして、新たに「LHDC」を認証しました。
最新版となるLHDC 5.0では最大192kHz/24bitをサポートします。
2024年7月時点で対応している機器は少なく、スマホだとOPPO、Xiaomi、DAPだとShanlingやFiiOに搭載されています。
「Snapdragon Sound」とは
Snapdragon Soundは、クアルコム社のワイヤレスオーディオ関連の独自技術をまとめたプラットフォームのことです。
aptX AdaptiveがSnapdragon Soundの中心をなす技術で、それを軸にaptX HDモード、aptX Low Latencyモード、aptX Losslessの各モードへと自動的に切り替えることが可能です。
Snapdragon Soundでは、ワイヤレスオーディオ体験の基本要素である「音質」「ロバストネス(接続の安定性)」「低遅延」の基準を定義しています。
認証を受けるにはQualcommのラボで実施されている試験をパスする必要があります。
したがって、「Snapdragon Soundに対応」と書かれている製品はaptXの最も厳しい規格をパスした、最良のグレードの音質が楽しめる製品ということになります。
まとめ
Bluetooth バージョンとBluetoothコーデックをまとめてみました。
今後も新しいバージョンやコーデックが出てくるかと思いますので、都度改編していきます。
ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンも最近は音質がかなり向上してきています。
ただ、コーデックがハイレゾ相当だから音質が良い、とは必ずしも当てはまらないと最近は思っています。
それは、JBLさんのイヤホンを聴いたからです。
JBLさんのイヤホン・ヘッドホンは、SBC・AACしか対応していないものが多いですが、音質がかなり良かったからです。
むしろ高音質コーデックは、動画視聴時などの低遅延の方への影響の方が大きいのかもしれません。
最近は、LC3コーデックが期待されていますが、まだまだ対応しているイヤホン・ヘッドホンも多くはありません。
低消費電力効果の方が大きいですので、音質向上にはそこまで期待できないかもしれません。
それでは楽しいオーディオ・ビジュアルライフを!!
※この記事の内容はあくまで個人の見解で、間違っていたり、最新でない可能性があります。できるだけ公式サイトのリンクを貼っておきますので、正しい情報は公式サイトをご確認ください。
コメント