AV情報家電 家電製品アドバイザー(エグゼクティブ等級)でオーディオ歴40年以上のyacchiです。
音の出口であるスピーカーは最も音質の変化が激しい箇所です。
そのため、どんなスピーカーを選ぶかで音の傾向がガラっと変わってしまいます。
それだけ重要なスピーカー選びのポイントを、私が FOCAL Chorus826E を購入した際の事例を元に解説していきます。
実際に FOCAL Chorus826E を購入した際の状況
以前は、WESTLAKE LC6.75というアメリカ製のスピーカーを所有していました。
このスピーカーは名古屋のゴトウ総合音響というお店で購入しました。
店主に「中学生の時にオーディオショップで聴いたJBLの4343というスピーカーの音に感動して、今も忘れられない」という話をしたら、音質・音調が似ているということで「WESTLAKE LC6.75」を紹介してくれました。
試聴した感じはJBL4343のようなモニター的でカチッとした音でした。
それでWESTLAKE LC6.75を購入した経緯があります。
ただ、WESTLAKE LC6.75の鳴らしこみにはすごく苦労しました。
アンプとの相性やアンプのパワーの問題があり、ついにこのスピーカーの低音を鳴らしきることはできませんでした。
また、かっちりしたモニターっぽい音で少し暗めの音でした。
そこでもっと鳴らしやすく、自分好みの音に近いスピーカーが良いと思い、スピーカーの買い替えを検討することになりました。
スピーカー選びに試聴は欠かせません
名古屋大須の名前は失念しましたが、オーディオ専門ショップでスピーカーを比較試聴しました。
試聴時のアンプとCDプレーヤーは自分の環境に近い、Marantzの10万円ほどのものを指定しました。
試聴に使用したCDは以下です。
- 今井美樹 PRIDEの2曲目の「LAST JUNCTION」
リズムのよい曲でベースの歯切れの良さが特徴なので、低音の再現性が判断できます。
- NoraJones come away with meの1曲目の「Don’t Know Why」
これはボーカルの再現性を見極めるには良い曲です。
私の評価軸は以下です。
- 低音に締まりがあり、ベースラインがしっかり感じれる
- 明るく楽しい音が良い
今までのスピーカー WESTLAKE LC6.75 は、モニターっぽいカチッとした少し暗めの音でした
購入の際に比較視聴したのは以下のスピーカーです。
メモを持っていき、試聴の感想をメモしました。
- ATC SCM-11
モニタースピーカーらしく、かっちりした音で低音がグイグイとダイナミックに出ます。
ボーカルには張りがあり、高音は素直です。
少し暗めの落ち着いた音調です。
- DUNAUDIO Exite36
トールボーイだけあって、深い低音が出ます。
Exiteシリーズは、ロックやポップスも鳴らせるシリーズだけあって、メリハリがありながら柔らかい音質です。
- Musikelectronic ME25
低音は量感あるが、すこし弾んだ感じです。
ボーカルは生々しく、ドラムの音もよく再現されていました。
響きの良いホールで聴いているようで少し響きが強かったかな、という印象でした。
- B&W CM8、CM9
メリハリのある音です。
低音はアンプのせいか、ぼわついてて、再現性はあまり良くない感じでした。
- B&W PM1
高音は伸びます。
音の質感は高い感じで、ボーカルは澄んでます。
B&Wらしい、すっきりクリアで澄んだ音です。
低音はアンプのせいか、少しぼわついてました。
B&Wのスピーカーは低音の制御が難しそうと感じました。
- FOCAL Chorus826E
高音に艶感があり、金属ツィーターらしく切れ味が鋭く、伸びがあります。
低音は量感豊かですが、ぼわつく感じはなく適度に締まっていて、ベースラインもしっかりと認識できます。
フランスのメーカーらしく全体的に明るい音色で、楽しく華やかな感じです。
独特な良い感じの艶感を感じます。
この中では、FOCAL Chorus826E が自分の好みの音に近く、一番しっくりきました。
適度な艶感もあり、楽しく音楽を聴けそうと感じました。
試聴したその場では決めず、試聴時の感想メモを見返して、後日、FOCAL Chorus826E を注文しました。
実際に比較試聴して購入した FOCAL Chorus826E の音質はどうだったか?
FOCAL Chorus826E は、試聴時にも感じましたが、高音に艶感があり、金属ツィーターらしく切れ味が鋭く、伸びがあります。
中低音は弾んだ感じで、低音は量感豊かです。
全体的に明るい音色で、音楽などを楽しく生き生きと聴かせてくれています。
ちゃんと試聴して購入したからこそ、納得のいく自分好みの音が手に入りました。
ただ、購入当初は低音が豊かすぎて、色々と工夫して調整しました。
スピーカーの背面に手作りの吸音ボードを作成しました。
これは発砲ボードにフェルトを巻いて作成しました。
また背面下のコーナーにはルームチューニング材の「KRYNA Watayuki」を置いています。
下の白い四角い箱がそれです。これはこもっていた音を吸い取り、部屋のバランスを整えるというものです。
ツイーターあたりのスピーカー上部の後ろにあるピラミッドみたいな白い箱は、「KRYNA 拡散材 Azteca」というものです。
吸音材とは反対に、音を拡散させるもので、高音域が拡散され音の広がり感が増しました。
試聴して購入しても、試聴環境と実際の家の環境とは違うので、試聴時の音がそのまま家で鳴るとは限りません。
一番の違いは店舗でありがちな比較的広大な空間での試聴と、実際の家の空間環境が違うことです。
購入後も自分で色々と細かい調整は必要になってきます。
まとめ:スピーカー選びのポイント
スピーカーは自動車のタイヤのような存在だと思っています。
車の乗り味を最終的に決めるのはタイヤです。
またタイヤの性能によって乗り心地やコーナリング時のグリップ力や急停車時の制動性も左右されてしまいます。
スピーカーはオーディオ・ビジュアルの音を決める最も重要なものです。
ただ、スピーカーはプレーヤーやアンプよりも製品によって個性が顕著に出ます。
ここで自分好みの製品を選ばないと、いくら高級なプレーヤーやアンプを揃えても好みの音にはなりません。
スピーカー選びのポイントサマリ
- スピーカーは必ず、雑誌やネット、YouTubeのレビューなどの情報で決めてしまわず、自分の耳で実際に試聴して決めてください。
- 試聴の際は、自分が普段良く聴いているCDなどを持参し、好みの音で鳴っているかをチェックしてください。
試聴時の機器も自分の所有製品と近いものをリクエストすると準備してくれるショップもあります。
オーディオ専門ショップでなくても、ビックカメラさんのような量販店でも対応いただけました。
- 自分なりの物差し(評価軸)を持って試聴に行ってください。
自分なりの物差し(評価軸)がないと比較試聴の際に「どれも良い音だなぁ」で終わってしまいます。
自分なりの物差しとは、例えば、低音は締りのある音が好き、中音のボーカルは艶があって欲しい、高音のドラムのシンバルやトランペットなどのホーンセクションは柔らかい音の方が好き、など・・・。
- メモ帳を持って行き、それぞれの比較試聴のスピーカーの音の傾向を書き込んでいくとなお良いです。
今の時代、ある程度はYouTubeなどの「音質の良い」空気録音でも雰囲気は分かりますが、結局音声の圧縮がかかってしまっているため、あくまで音の傾向しか分かりません。
多少面倒でも上記のポイントを踏まえて、試聴できるお店に行って、実際に自分の耳で音を確かめることを強くおすすめします。
スピーカーの寿命は結構長くて、数十年も持つものは普通にあります。
だから中々買い替えの時期が来ないのです。
ということで、購入時には後悔のないスピーカー選びが重要なのです。
参考:FOCAL Chorus826E の仕様
方式 | 3Way バスレフ フロア型 |
ユニット | TW:25mm逆ドーム型 MID:165mmx1 WO:165mmx2 |
周波数帯域 | 45 Hz -28 kHz (37Hz/-6db) |
能率 | 91.5dB |
インピーダンス (標準/最小) | 8Ω/2.9Ω |
クロスオーバー周波数 | 300/3000Hz |
最大入力 | 220W (連続入力155W) |
外形寸法(HxLxD)/ 重量 | 1038x282x375mm /25.8kg |
FOCAL Chorus826Eは、日本専用の125セット限定モデルで、スピーカーの上面のツィータプレートには「EDITION SPECIAL JAPON-2011」と刻印されています。
確か通常モデル FOCAL Chorus826V に対して、ウーファーとミッドレンジが「上級機と同じコンポジットWサンドイッチ振動板」へグレードアップされ、ネットワークが設計変更されていたと思います。
※逸品館様のHPより
参考:FOCAL Chorus826E の価格
FOCAL Chorus826Eは、既に生産完了品で、メーカー希望小売価格 \360,000 円(ペア・税別)です。
私は2012年3月に逸品館さんで、298,000円で購入しました。
限定品なので中古もほとんどないようです。元モデルのChorus826Vだと172,000円での販売がありました。
参考:FOCAL Chorus826E の我が家での接続状況
プリメインアンプのDENON PMA-2500NEにFOCAL Chorus826Eを接続しています。
DENON PMA-2500NEには、CDプレーヤー SA7003 Live(逸品館さんのカスタマイズモデル)とブルーレイプレーヤー Marantz UD-7006 Special(逸品館さんのカスタマイズモデル)をそれぞれアナログ接続(RCAケーブル接続)しています。
DENON PMA-2500NEはパワーアンプモードも備えており、AVアンプのMarantz SR6004 Special(逸品館さんのカスタマイズモデル)のパワーアンプとしても使用しています。
※パワーアンプモードにするには、INPUT SELECTORで「EXT・PRE」を指定します。
AVアンプのMarantz SR6004 Specialは主にブルーレイレコーダー Panasonic DMR-BW800とHDMIで、テレビ SHARP LC-60XL10と光ケーブルで接続しています。Amazon FireTV 4K MAXはMarantz SR6004 SpecialのHDMI端子に直接接続しています。
まとめ
今回は、スピーカー選びのポイントをまとめてみました。
実際に試聴したけど、家に持ってきたらあの時の感動はどこへ?という現象は良く起きます。
以下、まとめます。
- スピーカー購入の際は、自分の好みに合っているか必ず試聴することが重要
- 試聴の際は、自分が普段良く聴いてるCDなどを持っていって実際に鳴らす
- 自分の好きな音の評価軸を持って試聴に行く
- 試聴時は忘れないように聴いた感想もメモするとなお良い
- 購入してからも試聴時の音に近づけるために工夫は必要
試聴時にも結構気を使いますが、購入してからも自分の部屋の環境に合わせて色々な細かい調整が必要なのです。
それでは、楽しいオーディオ・ビジュアルライフを!!
※この記事の内容はあくまで個人の見解で、間違っていたり、最新でない可能性があります。できるだけ公式サイトのリンクを貼っておきますので、正しい情報は公式サイトをご確認ください。
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